私がインポートカジュアルを扱おうと自分の店を持ったのは1989年、26歳のときです。
お店をやっていた友人や親族の助けもあって、「STUSSY」をはじめカリフォルニアのインポートブランドを扱いはじめました。
当時はサーフィンとスケボーに明け暮れる毎日でしたが、あの頃はYoutubeなんてなかったですからね、たくさんのビデオを見て、情報を集めるくらいのことしかできなかったし、自分たちが欲しいという思う服もなかなか手に入らなかった。
私にとってファッションとは「服」だけではなくて、「趣味」、「ライフスタイル」まで含めたもの。当時の日本はDCブランドの全盛期でしたが、私はカリフォルニアやハワイのサーフシーンを感じさせるものが好きでした。ならば、「自分たちがかっこいいと感じるストリートウェアを、自分たちでアメリカから持ってくればいい」と1991年にスタージョイナスを設立したのです。
といっても、当時はアパレルの知識はゼロで、伝票の書き方ひとつ知らないままの見切り発車でした。だって、お店を始めるまでは、貨物船の航海士でしたから(笑)。
私は静岡県焼津市に生まれ、漁師や船乗りがたくさんいる環境で育ちました。ですから、航海士になったのも自然な流れでしたね。大人達が漁から帰ってくると、もらえるのは「海外のチョコレート」。海外らしい洗練されたパッケージデザインに心を奪われたものです。思えば、海外への憧れはこの頃に生まれたのかもしれません。
そんな畑違いの私でも、「これは絶対にかっこいい」という想いで仕入れた服をお客様におすすめしているうちに、スタージョイナスをここまで育てることができました。
ですから私は今でも、アパレル未経験の方の採用にも積極的です。ファッションに興味のある方でしたら、ぜひ気おくれせずにチャレンジしてほしいと思います。
インターネットによりお客様が世界中の情報にアクセスできるようになった今、「いいものを揃えていれば売れる」という時代は終わりました。「かっこいい」の価値観が多様化する中、私たちが商品、サービスを提供する上で大切にしているのは、「お客様にワンランク上のファッショニスタになっていただきたい」という思いです。そのためなら、ときに商品の枠を超えても、お客様の声に応えることがあるのがスタージョイナスの特徴です。
例えば、私が沖縄から取り寄せた陶器をお店に置いていた時のこと。あるお客様から「結婚式の引き出物にしたい」というご要望をいただきました。聞けば、結婚式の参列者は120人といいます。陶器は、ファッションアイテムのひとつとして複数の職人さんから買い取っていたもの。ですから同じものを個別に120個揃えるとなると、なかなか難しい。でも、お客様の気持ちにも応えたい。
そこで私は、陶器の職人さんのリストを作成し、お客様のお好みのものを集められるように段取ることにしました。沖縄まで見に行きたいとおっしゃるので、せっかくなら現地でウエディングフォトも撮れるように、とお勧めし沖縄の旅のプランを立てたのです。
売り上げにつながらないことをなぜそこまで、と思うかもしれませんが、私たちがご提案したいのは、洋服だけではなく、私たちの選んだ素敵なものに囲まれたライフスタイルそのもの。そのお客様はとても喜んでくださり「おかげで結婚式も大成功でした」とご報告いただきました。
うちのスタッフはお客様から、「最近のイケてるお店を紹介してほしい」「オススメのデートスポットはどこ?」と相談されることが多いと言います。スタッフ一人ひとりがお客様の目指す「ファッショニスタ」として信頼されているということなので、嬉しいですね。ファッションを通じてお客様の幸せを作ることが、私たちの存在意義であり、そのための努力を惜しまない姿勢は全スタッフに共通しています。
スタージョイナスでは、ファッションが好きな方はもちろん、これからアパレルビジネスを学びたい方にとっても、成長機会にあふれる環境やツールを用意しています。
これからもお客様のニーズがより多元化していくアパレル業界ですが、変化を受け入れ、それを楽しめるマインドをお持ちの方々と出会えるのを楽しみにしています。